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鍼灸治療の効果と適応疾患

鍼灸治療の効果について

鍼灸の効果について、その仕組やメカニズムの臨床と研究が進んでおり、効果が明らかになってきています。
しかし、まだすべてが明らかになってはおらず、現在のところ以下のような作用が働くことで、体の不調に対して効果が発揮されるのではないかと考えれられています。

血行促進作用

血管を拡張させ、血液循環を促進することで酸素や栄養の巡りを良くして、新陳代謝を高め患部の修復・回復を早めます。
また患部に留まっている乳酸などの痛みを引き起こす物質の巡りを良くします。

自律神経調節作用(体性 − 自律神経反射)

体には皮膚や筋肉などに刺激が加えられると自律神経の活動が変化し、自律神経が支配する臓器・器官の働きが反射的に調節される仕組みが備わっています。鍼や灸の刺激はその仕組みを利用して自律神経活動を変化させ、血管の調節をしたり臓器の働きを良くしたりします。
その結果、血圧が調節されたり、ホルモンバランスが整えられたり、免疫系が活性化したりなど全身性の広範な効果が引き起こされます。

鎮痛作用

痛みとは、私たちの体の中で起きている異常を知らせる警報機のような役割です。
体の中には痛みを引き起こす「発痛物質」と、セロトニンなど痛みを和らげる「鎮痛物質」が存在します。
はりやお灸による特殊な刺激は脳に伝わり、脳からの伝達によって体の中で「鎮痛物質」の分泌が促され痛みが緩和されます。

鍼灸治療の適応疾患

鍼灸治療といえば肩こりや腰痛・ひざの痛みなど整形外科疾患に効果があるイメージがありますが、実際には頭痛、風邪、胃腸の病気、下痢・便秘、冷え性、耳鼻科の病気や、自律神経失調症などの精神的疾患、生理痛などの婦人科系疾患、脳卒中の半身麻痺の後遺症など様々な疾患に対して効果が引き出させることも指摘されています。

1979年にWHO(世界保健機構)が鍼灸治療に対して、以下の適応疾患を発表しました。

神経系疾患

神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー

運動器系疾患

関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・頚椎捻挫後遺症・五十肩・腱鞘炎・腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)

循環器系疾患

心臓神経症・動脈硬化症・高血圧・低血圧症・動悸・息切れ

呼吸器系疾患

気管支炎・喘息・風邪および予防

消化器系疾患

胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾

代謝内分泌系疾患

バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血

生殖・泌尿器系疾患

膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎

婦人科系疾患

更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊

耳鼻咽喉科系疾患

中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎

眼科系疾患

眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい

小児科疾患

小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善

上記疾患のうち、神経痛・リウマチ・頚肩腕症候群・頚椎捻挫後遺症・五十肩・腰痛は鍼灸の保険適用が認められています。
※患者がはり・きゅうの施術を受け、その施術について費用の支給を受けるためにあらかじめ医師から同意書の交付を受ける必要があります。